“運動不足”=座位時間の長い日本人、それによる死亡リスク

“運動不足”=座位時間の長い日本人、それによる死亡リスク

最終更新日:2020.06.26

「運動不足」って死亡リスクもけっこう高めるって知ってた?

そうなんだ〜…わたし運動不足気味だからなあ…。
でも「運動不足」って具体的にはどんな状態のことを言うの?
死亡リスクはどれくらい高くなるの?

この記事では、
日本人はとても“運動不足”=座位時間が長い!
長時間座位はどのくらい死亡リスクを上げる?
座位時間を減らすことの意義
について、こちらの文献を参考にしながら、私見をまじえて書いています。

リハビリのPT;理学療法士のゆきです。
この記事を書いている2020年 5 月時点で病院勤務の 8 年目。
回復期→地域包括ケア→外来を経験し、現在訪問リハ 4 年目です。
(くわしいプロフィールはこちら

“運動不足”=座位時間の長い日本人

“運動不足”を“いかに長時間座位を取っているか”と考えると、日本人の運動不足は深刻です。

日本人は世界で最も1日の総座位時間が長いとされているからです。

世界20カ国の成人に対する調査の結果、総座位時間の平均は、
・世界では約5時間/日
・日本では約7時間/日

− オーストラリア:Bauman氏らの研究(参考文献1)より

日本人は、世界平均より1日約2時間も長く座っていることになり、さらに、

日本人成人の余暇におけるテレビ視聴は一日平均2.5時間,パソコン・スマートフォン利用に1時間程度費やしている.また,仕事中は3時間,移動のための自動車運転では0.5時間ほど座っており,一日平均の総座位時間は8~9時間程度であることが明らかになっている.

− 早稲田大学:岡氏らの研究(参考文献2)より

と、日本における詳しい研究では1日約8〜9時間と、より長い座位時間が示唆されています。

運動不足による死亡リスクはどれくらい?

長時間座位による死亡リスク(海外)

長時間座位による死亡リスクについては、多くの研究や統計で示されています。

1日の総座位時間4時間未満の成人を基準にすると、座位時間による死亡リスクは
・4〜8時間で1.02倍
・8〜11時間で1.15倍
・11時間以上で約1.4倍

※この死亡リスクは、WHOによる推奨身体活動量を充足していたとしても相殺できない。

− オーストラリア:van der Ploeg氏らの研究(参考文献3)より

総座位時間が8時間/日を越えると総死亡リスクは顕著に上がっていて、日本人の一日平均の総座位時間は8〜9時間程度であるという研究結果と照らし合わせると、日本人の運動不足による死亡リスクはとても高いということになります。

※印に書いてあるのはつまり「長時間座位での死亡リスクは運動では回避されない」っていうこと…!?

あくまでもこの研究結果の場合の“運動”は、WHOによる推奨身体活動量(1日30分以上のウォーキングやランニングなどの運動を週5日実施)のことです。

次のような報告もされています。

・「Stand Up, Sit Less, Move More, More Often(できるだけ立ち,座り過ぎないようにし,少しでも多く,より頻繁に動こう)」が大切
・従来の身体活動の促進+座位行動の改善が大切
・今後は、どのような種類の座位行動をどのくらいの頻度で中断すれば健康障害を予防できるのかといった点が解明されていく必要がある

− 早稲田大学:岡氏らの研究(参考文献4)より

・自宅の座位時間が長い人は,少なくとも1時間に一度,できれば30分に1回は座ったままの状態から立ち上がり,少しでも動くよう努めるべき
・日常生活でのちょっとした活動(リモコンを使わずチャンネルを変える,テレビを見ながら簡単な家事を行う,CM中は立って動き回るなど)の積み重ねが重要
・これまではどちらかといえば身体活動を増やすことのみに力点が置かれてきたが,今後は座り過ぎの健康影響や座り過ぎを少しでも減らす工夫についての研究や実践についても推進していくべき

− 早稲田大学:岡氏らの研究(参考文献2)より

運動をするのも大切だけど、とにかくまず座位時間を減らすことが前提、っていうことだね。

どれくらい座位時間を減らせばいいかという具体的な研究はこれからみたいですね。

運動不足による死亡リスク(日本)

健康日本21(第2次)」の「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」からも、運動不足による死亡リスクの高さがわかります。

「健康日本21」、通称「21世紀における国民健康づくり運動」。
2000年に厚生労働省によって始められました。
2000年度〜2012年度に「健康日本21」、
2013年度〜2022年度に「健康日本21(第2次)」が行われています。

非感染症疾患と外因による死亡数の多さでは、“喫煙”、“高血圧”に次ぐ第3位が“運動不足”
“運動不足”によって年間約5万人が死亡している

− 「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」から「2007年の危険因子に関連する非感染症疾患と外因による死亡数」のグラフより

この調査における“運動不足”というのが具体的になにを指すのかを調べてみましたが、明確な答えは見つかりませんでした。

まとめ

日本人は世界的に見ても座位時間が長く、運動不足は深刻

長時間座位は死亡リスクを高める

リスクを減らすためには、とにかく座っている時間を減らすことが重要

日常生活の中で、テレビを見ながら簡単な運動や家事を行う、CM中は立って動き回るなど、ちょっとした心がけの積み重ねをすることが大切です。

参考文献

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1)Bauman A, Ainsworth BE, Sallis JF, Hagströmer M, Craig CL, Bull FC, Pratt M, Venugopal K, Chau J, Sjöström M; IPS Group. The descriptive epidemiology of sitting. A 20-country comparison using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ). Am J Prev Med. 2011 Aug;41(2):228-35.
2)岡浩一郎ほか:座り過ぎを減らす―健康教育の新しい視座―. 日本健康教育学会誌, 23巻2号:巻頭言, 2015.
3)van der Ploeg HP, Chey T, Korda RJ, Banks E, Bauman A. Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults. Arch Intern Med. 2012 Mar 26;172(6):494-500.
4)岡浩一郎ほか:座位行動の科学―行動疫学の枠組みの応用―. 日本健康教育学会誌, 21巻2号:142-153, 2013.

日本における座位時間と健康被害に関する研究は早稲田大学の岡浩一郎先生が有名なようです。
「座位行動」で検索するといろんな論文が出てきます。

 
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