セラピスト
「転倒リスクを評価するときって、どんな要因を注意して見ながら、どんな評価を使えばいいのかな?」
この記事では、
転倒リスク評価前の予備知識として知っておきたい、転倒を引き起こす要因
推奨されている転倒リスク評価
について、こちらの文献を参考にしながら、私見をまじえて書いています。
リハビリのPT;理学療法士のゆきです。
この記事を書いている2020年 6 月時点で病院勤務の 8 年目。
回復期→地域包括ケア→外来を経験して、訪問リハ 4 年目です。
(くわしいプロフィールはこちら)
\スポンサーリンク/
転倒の要因
転倒を引き起こす要因は、大きく3つに分けられるとされています。
内的要因
加齢変化や身体的疾患、薬物など、対象者の身体的な問題によるもの
外的要因
段差や履物など、対象者のまわりの物的環境の問題によるもの
行動要因
対象者の「動きたい」という意思による行動や、介助者の「こう動いてほしい」などの意図
– 「日本転倒予防学会」の学会誌や学会員の方のコラムからの引用
これらの要因を包括的に評価することが大切ですが、転倒リスクを把握するための評価スケールはこのうちの内的要因をあつかうものがほとんどです。
外的要因・行動要因についても、自分なりに合わせて考えていくことが必要だと思います。
「~ 特集 ~転倒リスクに気づき、転倒を予防する 転倒につながるリスクとは?」での説明・図が分かりやすかったです。
(まだ編集途中の特集記事のようですが…)
このあたりの評価はOTのほうが得意な方も多いかと思います。
OTの意見が聞ける環境であれば頼ってみるのもいいかもしれません。
転倒に特に高く関与する内的要因
内的要因のうち、どの項目が特に転倒リスクに高く関与するかという研究は多くあります。

PTとして評価できる項目としては、転倒歴、バランス障害、筋力低下、歩行障害の4つが転倒に特に高く関与する内的要因である事がわかります。
\スポンサーリンク/
推奨されている評価
「理学療法診療ガイドライン第1版(2011)」の中の「身体的虚弱(高齢者)理学療法診療ガイドライン」において、転倒リスクと関連する推奨された評価は以下のようになっています。
【筋力(推奨グレードA)】
・膝伸展テスト:膝関節屈曲90度位による等尺性膝伸展筋力
・立ち座りテスト:CS-30(30-seconds chair-stand test)もしくはSS-5(Sit to stand-5)
【バランス(推奨グレードA〜B)】
・開眼片足立ち(片脚立位)
・functional reach test(FR)
・Berg balance scale(BBS)もしくは functional balance scale(FBS)
・four square step test(FSST)
【移動・歩行(推奨グレード A)】
・timed up & go test(TUG)
・歩行速度:10m歩行もしくは,5m歩行(予備路前後3mの計11m歩行路)
転倒に特に高く関与する内的要因の4つのうち転倒歴の評価だけ含まれていません。
僕は「転倒・転落アセスメントスコア」を利用して、その中で聴取するようにしています。
まとめ
転倒を引き起こす要因は「内的要因」「外的要因」「行動要因」
転倒リスクを把握するための評価スケールは「内的要因」をあつかうものがほとんど
PTとして評価できる項目としては、転倒歴、バランス障害、筋力低下、歩行障害の4つが転倒に特に高く関与する内的要因
理学療法診療ガイドラインで推奨されている転倒リスク評価では転倒歴の項目が含まれていないので、別途評価する
\スポンサーリンク/
参考文献
著作権についてはこちらの記事に書かれているように解釈をして、著作権を侵害しないように注意していますが、著作権や引用についての解釈、また記事の内容に問題があると思われる場合は、お手数ですがこちらからご連絡下さい。
上の文献をまず参考にして、下の文献を孫引きしたり、新たに調べたりしてこの記事を書きました。
1)大高洋平:高齢者の転倒予防の現状と課題. 日本転倒予防学会誌 1巻:11-20,2015.