この記事を書いている2020年 7 月時点で 2 人男の子のママです。
(くわしいプロフィールはこちら)
2019年12月に出産した次男が新生児マススクリーニングの結果、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が疑われました。
この記事では、
新生児マススクリーニングとは?
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは?
について書いています。
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参考にしたサイト
「新生児マススクリーニング」と「先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)」について調べるにあたって、主に参考にしたサイトは以下の4つです。
1)日本小児内分泌学会|先天性甲状腺機能低下症
2)日本マススクリーニング学会
日本小児科学会の分科会にもなっている学会
3)こども健康倶楽部|先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)講座
上記日本マススクリーニング学会で紹介されているこども健康倶楽部のクレチン病についてのページ
4)先天性甲状腺機能低下症マス・スクリーニングガイドライン(2014年改訂版) および 推奨版〜Q&A〜
日本小児内分泌学会が2014年に公表したもの
以下は自分の特に知りたかったことの簡単なまとめです。
詳細は上記サイトをご参照ください。
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新生児マススクリーニングについて
マス・スクリーニング(mass-screening)直訳で「集団検査」。
特定の病気を持った新生児を効率よく見つけだすための検査。
概要
・別名「新生児スクリーニング」「先天性代謝異常等検査」など。
・神経障害や生命にかかわるような障害が発生する可能性のある先天性代謝異常などを早期発見して障害の発生を予防する事業。
・任意だが(強制ではない)、日本の新生児のほぼ100%がこの検査を受けている。
わたしはクリニックで出産して、産後に検査を行うかどうかの同意書を書きました。
産後のぼーっとした状態で「みんな受けるんだったら受けとこ〜」くらいの軽い感覚で検査の同意書を書いて、その後は忘れていました。
検査・通知の方法
多くは産後に産科医療機関で新生児の足の裏から採血し、専門機関に送られて検査される。
検査結果は、1) 正常、 2) 再検査、 3) 要精密検査 の 3 つに分けられる。
1) 正常 の場合
→ 産科医療機関における 1 か月健診で説明されることが多い。
2) 再検査 3) 要精密検査 の場合
→ 産科医療機関から 1 か月健診前に連絡があることが多い。
わたしの場合も、産後1か月も経たない時期にクリニックから「先天性代謝異常検査で再検査の項目があるので、産院に来てください」と携帯に連絡があり、慌てました。
電話では詳細は教えてもらえず、クリニックに行ってから先天性甲状腺機能低下症が 2) 再検査対象であることを知りました。
検査対象となる疾患
1977年から全国で実施、6つの疾患を対象にされていた。
〔アミノ酸代謝異常症〕
(1)フェニルケトン尿症(2)メープルシロップ尿症(3)ホモシスチン尿症
〔糖質代謝異常症〕
(4)ガラクトース血症
〔内分泌疾患〕
(5)先天性甲状腺機能低下症(6)先天性副腎過形成
2014年からはタンデムマス法を導入、20種類程度の病気を追加検査が可能に。(自治体によって対象疾患数が異なることがある。)
今回次男が疑われた「先天性甲状腺機能低下症」はマススクリーニング実施当初から対象にされていた 6 つの疾患の中のひとつということが分かりました。
また、 6 つの疾患の中でももっとも頻度の高いもの(およそ3,000〜5,000人に 1 人程度)でした。
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甲状腺について
首の正面の真ん中(喉ぼとけあたり)にあり、代謝や成長を促進するはたらきを持つ器官。
甲状腺でつくられるホルモン
・食物などに含まれるヨード(ヨウ素)を材料に、甲状腺では2種類の甲状腺ホルモン(FT4 と FT3)がつくられる。
・脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンの分泌が促される。
甲状腺ホルモンの量↑
→脳下垂体が「甲状腺ホルモンが多い!」という信号を受ける
→甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌↓
甲状腺ホルモンの量↓
→脳下垂体が「甲状腺ホルモンが少ない!」という信号を受ける
→甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌↑
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先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)について
先天的に(生まれつき)甲状腺で甲状腺ホルモンをつくるはたらきが弱い病気。
症状
甲状腺の作用
甲状腺機能が低下すると…
代謝を促す
黄疸、浮腫、便秘、元気がない、手足が冷たい など
脳の発達・機能維持
発達の遅れ、知能低下 など
成長促進
体重増加不良、低身長 など
程度はごく軽症なものから重症なものまで、また経過も永続的なもの(生涯治療を継続する必要あり)から一過性のもの(甲状腺ホルモンの不足が一時的)まである。
治療
新生児マススクリーニングによって早期発見し、不足している甲状腺ホルモンを薬として補う早期治療によって、症状の発症を予防できることが知られている。
名称
正式の病名は先天性甲状腺機能低下症。
病気の原因が甲状腺にあることが分かる前に「クレチン症」という病名がつけられ、世界各地で昔から一般的に使われていたため、また呼びやすいため、日本でもクレチン症(またはクレチン病)のほうがよく使われる傾向にあるらしい。
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新生児マススクリーニングにおける先天性甲状腺機能低下症の検査
甲状腺ホルモンが低値であるか、または甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値であるかを検査することで甲状腺機能低下症が見つけられるが、新生児マススクリーニングでは、主に甲状腺刺激ホルモン(TSH)を検査する。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)のカットオフ値
カットオフ値とは、検査の陽性(特定の疾患に罹患している)と陰性(罹患していない)を分ける値。
先天性甲状腺機能低下症マス・スクリーニングガイドライン(2014年改訂版) によると、以下のように定められている。
・TSH が 7.5-15 mIU/L の値の場合は 2 回目採血を初回採血医療機関に依頼し、2 回目採血検体 TSH 値が各マス・スクリーニング検査施設のカットオフ値以上の場合は精密検査対象者とすることを推奨する
つまり、初回検査では TSH が 15 mIU/L以上であればすぐに 3) 要精密検査、7.5-15 mIU/Lであれば 2) 再検査と基準があるが、2 回目の検査のカットオフ値は検査施設によって異なる。
月齢によっても TSH の基準値についてはいろいろな報告があり、こども健康倶楽部のこちらのページにいくつかの基準値が書かれているが、「どの測定法でも 5 mIU/L以上は少し高値、 10 mIIU/L以上は明らかに高値と考えて良いようです」とまとめられている。
次男は初回検査 11 mIU/L、再検査 10 mIU/Lでした。
わたしの住んでいる自治体では 10 mIU/L 以上で 3) 要精密検査 と定められていたので、ギリギリで精密検査を受けなければいけないことになりました。
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まとめ
新生児マススクリーニングでは、神経障害や生命にかかわるような障害が発生する可能性のある先天性代謝異常などを早期発見して、障害の発生を予防することができる。
先天性甲状腺機能低下症は新生児マススクリーニングで発見できる疾患のひとつで、比較的頻度が高いもの(およそ3,000〜5,000人に 1 人程度)である。
新生児マススクリーニングでは、主に甲状腺刺激ホルモン(TSH)を検査することで甲状腺機能を検査する。
初回の新生児マススクリーニング検査では TSH が 15 mIU/L以上であればすぐに要精密検査、7.5-15 mIU/Lであれば再検査と基準があるが、2 回目の検査のカットオフ値は検査施設によって異なる。
次男は 2 回目の検査で 10 mIU/L 以上の結果が出て、カットオフ値ギリギリで精密検査を受けなければいけないことになりました。
次の記事では精密検査についてのことを書いています。
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