大殿筋をより選択的に鍛えるためのブリッジ

大殿筋をより選択的に鍛えるためのブリッジ

最終更新日:2020.07.14

セラピスト
「患者さんの大殿筋を鍛えたい…ブリッジはどうかな?」

一般的な両脚ブリッジでは、意外にも大殿筋の筋活動は高くないという報告があることを知っていますか?

この記事では、
大殿筋をより選択的に維持/増強するためのブリッジ
について、こちらの文献を参考にしながら、私見をまじえて書いています。

リハビリのPT;理学療法士のゆきです。
この記事を書いている2020年 7 月時点で病院勤務の 8 年目。
回復期→地域包括ケア→外来を経験して、訪問リハ 4 年目です。
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予備知識

MVC:maximum voluntary contraction=最大随意収縮。
%MVC:MVCに対してどの程度の割合の筋活動が行われたか。

筋力維持には最大筋力の20〜30%以上の負荷
筋力増強には最大筋力の40〜50%以上の負荷 が必要

− 木藤伸宏氏らの報告(参考文献2)より

ブリッジにおいて大殿筋に20%MVC以上の負荷がかかれば筋力維持、40%MVC以上の負荷がかかれば筋力増強が期待できる、と考えてみます。

さまざまなブリッジと大殿筋における%MVCの変化

ブリッジの種類と大殿筋におけるおおよその筋活動(%MVC)は、いくつかの文献を参考にすると以下のようになります。

20%MVC以下:一般的なブリッジ
20%MVC以上:脊柱起立筋群の活動を抑制したブリッジ
20%MVC以上:ハムストリングスの活動を抑制したブリッジ
40%MVC以上:股関節外転位でのブリッジ
60%MVC以上:片脚ブリッジ
70%MVC以上:徒手抵抗下でのブリッジ

以下、それぞれのブリッジについて詳細を説明していきます。

一般的なブリッジ

一般的なブリッジ(膝関節90°屈曲位+股関節内外転中間位)です。

この場合、大殿筋の活動はおおよそ20%MVC以下となり、ハムストリングスや脊柱起立筋群の筋活動の方が高くなる傾向にあると言われています。(参考文献1

一般的なブリッジにおいて、大殿筋の活動は20%MVC以下=筋力維持も期待できない可能性が高いのではないか、と言えます。
(ハムストリングスの筋活動は20%MVC以上、脊柱起立筋群の活動は50%MVC以上という報告もあり、ハムストリングスや背筋の筋トレには有効である可能性が高いです。)

脊柱起立筋群の活動を抑制したブリッジ

特に、ブリッジ動作時に「腰が痛い」「背中が痛い」と言う方には、この方法を試してみるといいかもしれません。

方法1)骨盤を後傾する

骨盤を後傾位にし、脊柱起立筋群の過活動を抑制しながら行うブリッジです。

大殿筋の活動は、おおよそ20%MVC以上になるとされています。(参考文献3

方法2)頭部を挙上する

頭部を挙上して腹筋を働かせ、脊柱起立筋群の活動を抑制しながら行うブリッジです。

大殿筋の活動は、一般的なブリッジより数%MVC上昇するとされています。(参考文献1

方法3)上肢支持による代償を抑制する

手の位置を頭の後ろや胸の前で組むなどし、上肢支持による代償を抑制して行うブリッジです。

大殿筋の活動が具体的に何%MVCになるかということは分かりませんでしたが、上肢をベットにつけて行うと胸腰椎伸展が強調されて脊柱起立筋の筋活動が増加し、大殿筋の活動は低下する(参考文献4)との報告があるため、上肢支持はできるかぎり取りのぞいたほうが良さそうです。

方法1)で20%MVC以上となり、一般的なブリッジと比べて、大殿筋に関しては筋力維持が期待できる可能性が高いのではないか、と言えます。
更に方法2)3)も加えて行うとより効果が期待できそうです。

ハムストリングスの活動を抑制したブリッジ

方法1)膝の屈曲角度を深くする

膝の屈曲角度を120度など深くしてハムストリングスを短縮位にし、活動を抑制して行うブリッジです。

大殿筋の活動は、20%MVC以上になるとされています。(参考文献1

方法2)足部を低い位置にする

足部の位置を殿部より20cmなど低くすることで股関節を伸展位にし、ハムストリングスの活動を抑制して行うブリッジです。

大殿筋の活動は、一般的なブリッジより数%MVC上昇するとされています。(参考文献1

方法1)で20%MVC以上となり、一般的なブリッジと比べて、大殿筋に関しては筋力維持が期待できる可能性が高いのではないか、と言えます。
更に方法2)も加えて行うとより効果が期待できそうです。

股関節外転位でのブリッジ

股関節を外転位にして行うブリッジです。

大殿筋の活動は、外転角度が大きくなるにつれ増大するとされています。(参考文献5

外転45°においては上部線維で60%MVC以上、下部線維においては40%MVC以上に増大したという報告もあります。(参考文献6

一般的なブリッジと比べて、大殿筋に関しては筋力増強が期待できる可能性がかなり高いのではないか、と言えます。
特に上部線維を強化したい場合は有効なようです。

片脚ブリッジ

片脚で行うブリッジです。

大殿筋の活動は、60%MVC以上になるとされています。(参考文献1

一般的なブリッジと比べて、大殿筋に関しては筋力増強が期待できる可能性がかなり高いのではないか、と言えます。
(同時に、中殿筋や内腹斜筋の筋力トレーニングになることが示唆されるという報告もあります。(参考文献7、8))

徒手抵抗下でのブリッジ

両上前腸骨棘に抵抗をかけることで、股関節により近位である大殿筋の活動を高めるブリッジです。

大殿筋の筋活動は最大徒手抵抗でおおよそ70%MVCになるという報告もあります。(参考文献8

一般的なブリッジと比べて、大殿筋に関しては筋力増強が期待できる可能性がもっとも高いのではないか、と言えます。

まとめ

ブリッジで大殿筋を維持/増強したい場合は、以下の点を考慮しながら行うといいと思います。

大殿筋に
20%MVC以上の負荷がかかれば筋力維持、
40%MVC以上の負荷がかかれば筋力増強 が期待できる

大殿筋:20%MVC以下
・一般的なブリッジ(※大殿筋よりも脊柱起立筋とハムストリングスに有効)

大殿筋:20%MVC以上
・脊柱起立筋群の活動を抑制したブリッジ
・ハムストリングスの活動を抑制したブリッジ

大殿筋:40%MVC以上
・股関節外転位でのブリッジ

大殿筋:60%MVC以上
・片脚ブリッジ(※大殿筋と同時に中殿筋や内腹斜筋に有効)

大殿筋:70%MVC以上
・徒手抵抗下でのブリッジ

ただし…
参考文献のMVCや%MVCはほとんど健常者のデータでなので、高齢者にブリッジを選択する場合は注意しなければいけません。
高齢者はMVC自体が低下しているため、一般的なブリッジにおいても大殿筋に対してかならずしも低負荷とは言いきれないと思います。
最初は一般的なブリッジから行い、必要であれば段階的に運動負荷を増やしていきましょう。

参考文献

著作権についてはこちらの記事に書かれているように解釈をして、著作権を侵害しないように注意していますが、著作権や引用についての解釈、また記事の内容に問題があると思われる場合は、お手数ですがこちらからご連絡下さい。

1)市橋則明編集:運動療法学−障害別アプローチの理論と実際 第2版. p228-230

上の文献をまず参考にして、下の文献を孫引きしたり、新たに調べたりしてこの記事を書きました。

2)木藤伸宏 ほか:筋力増強運動の基本と実際. Jpn J Rehabil Med Vol. 54 No. 10, 2017
3)西沢喬 ほか:骨盤肢位の違いにおけるブリッジ動作の筋活動の特徴. 第50回日本理学療法学術大会(東京), 2015
4)中道哲朗 ほか:筋力低下に対するアプローチ. 関西理学 14: 11–15, 2014
5)野田将史 ほか:両脚ブリッジ運動における股関節外転および膝関節屈曲角度の違いが下肢筋群筋活動に及ぼす影響. 第47回日本理学療法学術大会 抄録集, 2012
6)周藤滉平 ほか:Supine Bridge時の股関節外転角度の違いが大臀筋上部線維・下部線維の筋活動に与える影響. 2017
7)前沢智美 ほか:片脚ブリッジ時における挙上側・支持側の内腹斜筋・腹横筋の観察 〜超音波画像診断装置を用いて〜. 愛知県理学療法学会誌 27(1), 7-11, 2015
8)市橋則明 ほか:各種ブリッジ動作中の股関節周囲筋の筋活動量. 理学療法科学13(2) : 79-83, 1998

 
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